[04,想い想われ、バカの夏](1/13)
「ミオちゃん....」
「ケイ....」
モゾモゾ
「あっついってのーーー!!!」
あれから、カップルとも友達とも言えぬ関係を始めた私とケイは、まあ....何だかんだ仲良くやっていた。
「足絡めないで!?暑いから腕枕もいらない!」
「えー、だってくっつきたいもん」
「ねー、ケイ。さっきまでソファで十分くっついてたじゃん?寝るときくらい離してよ。あっち行って」
「やだー」
まるで子供のようなケイは、たまに本気でうざかったりしたけど、想われてるってことは嬉しいもので。
「じゃあ、手だけ繋いであげるから。我慢して」
こちらが折れてしまうことも多々ある。
どうなるかと思った関係だったけど、形にとらわれない付き合い方は案外心地が良かった。
けど。
「ケイ、私、廃人になってもいい?」
「いいよ。ミオちゃんは何もしないで。あ、料理だけしてくれたらいい」
夏休みだし、ケイとばっかり過ごしてるし、たまに現実のことを忘れそうになる。
....というか、その事実に気付いてはいるくせに、現実から逃げていたのだ。
まだ学校へ1回も行ってないし、課題も就活もやってない。
ショウとタナピーとの約束も、体調を理由にすっぽかした。
本当にクズでごめんなさい。
「いいのかなぁ、これで」
「これって?俺との関係?」
「ううん。この、現実から逃げてる時間のこと」
「俺は、ミオちゃんが出歩いたりするのが不安だから、これでいいと思ってるけどね。家に居れば安心だし、出掛けるときは俺がついてくし」
「ああ、そう」
「何か嫌そう。そんな顔しないでよー!」
「ちょっ、ねえ、暑いって....」
「いただき!」
「も、ケイ、ちょ、やめ....」
「ミオちゃん....アイシテル....」
「んぅっ....」
私たちバカの夏は、まだまだ続くのです。
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