私と小崎と黒沼と

[02,夏がみんなをおかしくさせた](1/10)



カタカタカタカタ....



カタカタカタカタ....



カタカタカタカタ....




「もーっ!タナピーうるっさい!」

「だって暑いんだから仕方ないだろ!」

「とりあえずミオ、タナ、座ろう」

「「....」」





7月。

夏休みを前に、私たちは大量の課題との戦いを強いられた。


いつメンのうち、私・ショウ・タナピーは美容、
リサ・ユウ・カケル・ナナは理容の科に在籍していたのだが、
それぞれが課題や実習に追われる日々で、最近ではなかなか全員で集まることが出来なくなっていた。


彼氏のユウとも、学園内に居れば顔は合わせるのだけど、結局それだけで終わってしまったり。

電話やLINEはするけれど、会う予定は立てなかったり。

春からバイトを始めたユウは、昨年と違い、夜や休日はバイトに時間を当てることが増えたから、それも影響していたように思う。


だから、正直もう付き合ってるのかさえ分からない瞬間も多かった。




「ミオ」

「ん?」

「お前、ユウとどうなってんの?」

「なに....?タナピーがそんなこと聞くの珍しい」

「いや?ちょっと気になってさ」

「何が?」

「何かさ、理容科の方じゃあ、ユウとミオが別れたって話、出てるらしい」

「....へー」

「へーって。何?本当なの?」

「別れたつもりはないけどさ。ほぼそんな感じではあるよ」

「ちゃんとしろよ」

「タナピーに言われたくない」

「欲求不満か?イライラすんなよ」

「黙れ」



イライラする暑さと、イライラする話。

もう、何も考えたくない。

けど、動かなきゃまずいような気もする。




「ふっ...。しょうがねえから、俺がきっかけ作ってやるか」

「えっ?」

「ユウ&ミオ、愛の復活大作戦〜」

「「....」」



「え?ダメ?」

「何すんの?」

「んー....海かな?」

「「海?」」

「とりあえず海行けば仲も戻るだろ。ま、俺に任せろ」

「やだ、何かこわい」

「タナに任せて成功した試しないからな」

「だーいじょうぶだって。俺の力をなめるなよ?」

「....まあ、いいや。じゃあタナピー、よろしく」

「おう!任せろ」





このときの私には、まだユウと戻りたい気持ちが残っていた。


ユウに告白されて、付き合い始めて、 1年のときには学園祭でベストカップル賞ももらった。

グループのみんなにウザがられるくらい、熱々だったはずなのに。


どうして距離は開いたの?



考えても考えても答えは見つからなくて、その時はただ、タナピーの作戦に懸けるしかなかった。




- 10 -

前n[*][#]次n
しおり


[編集]

[←戻る]