私と小崎と黒沼と

[01,それは予想外の出逢いでした](1/9)




専門学生2年目の春。


夏から始まる就職活動を前に、仲間と隣県の遊園地に遊びに来た時のことだった。






女子3人、男子4人のいつメンで片っ端から乗り物を制覇していた私たち。

休憩もろくに挟まず、昼食すらもまともに取らず、朝から遊び続けていたメンバーからは、もちろん体調不良を訴える奴が出てくるわけで。


私も、そのうちの一人となった。





「ミオ、大丈夫?」

「いや....無理。しんどい」

「こっちはタナピーもカケルもダメ」



男子からはタナピーとカケルの2人が、女子からは私が途中棄権をやむ無くされた。




「うちら次行ってくるけど、タナピーとカケルじゃミオのこと任せるの心配だな」

「明らかにミオよりゲロってるもんな」

「あ....私は大丈夫。タナピーもカケルも見とくから、リサたち早く行っといで」

「うーん、本当に大丈夫?」

「俺残るよ。タナピーとカケルのゲロは無理だけど、彼女のゲロなら処理出来る」

「ユウ....ありがと。でも大丈夫だよ。ユウ絶叫大好きじゃん。私の分も乗ってきて」

「いや、心配だから」

「平気平気。ほら、行って」

「....分かった。一つ乗ったらまたすぐ戻ってくるけど、何かあったら連絡しろよ?」

「うん。分かった。行ってらっしゃい」



私とタナピーとカケルを残して、ユウたちは次の乗り物へと向かっていった。

さほど混んでない園内だから、一つ乗るのにはそんなに時間はかからないだろう。

それまでには復活してると良いのだけど。




「ミオ....」

「ん?」

「水....買ってきて....」

「は?」

「俺もカケルも、無理なんだよ....。頼む....」

「頼む....ミオ....」

「ユウたち買ってきてくれるって言ってたじゃん」

「無理....待てない....」

「....」



こいつらに期待はしていなかったけど、まさか女一人に水を買ってこいだなんて言うとは思わなかった。

一瞬、殺意さえ芽生えた。



「ユウにチクってやる」

「え!?ユウに!?やだ、俺ら殺される!」

「やっぱ良いや!ミオ!水いら....あれ?あ、おい!ミオ!」



私のことを危険に晒したタナピーとカケルは、ユウに怒られてしまえ。

ユウの恐さに慌てる二人を放置して、私は自販機を探しに歩き始めた。




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