白猫の足跡
[unknown love](1/4)
久しぶりに地元に帰ってきた。
大学に入るために
両親の反対を振り切って
家を飛び出してからだから、
もう5年ぶりになるのか。
変わってないな。
何もない駅前も、
通った小学校も、
少し寂れた商店街も、
ーー俺の、家も。
「あっ来た来た!アンタ5年も何やってたの!」
家の前で足踏みしながら待っていたらしいソイツは
俺の姿を見つけてこちらへ駆けてくる。
「そんなこと言われてもなぁ、俺だって色々あるんだよ」
色々って、なんだよ。
自分の言葉に自分で疑問を返して
苦虫を噛み潰したような気分になる。
自分の行きたかった大学に
一浪してまで入学したものの、
元々自分の学力ギリギリだったのもあって
すぐに講義について行けなくなった。
その上就活も上手くいかなくて
今は絶賛フリーター生活中だ。
俺は、何がしたかったんだろう。
親の反対を振り切った意味は?
家を飛び出した意味は?
俺がこれまで生きてきた、意味は?
ちゃんと、あるのだろうか?
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