ファシネーション

     [相談役](1/17)


入籍してから2週間。ようやくこの生活リズムに慣れてきたような気がする。


今日は大和くんも私も早番なので、同じ時間に家を出ることになった。


だけど交通手段は別。同じ車から降りていくところを誰かに見られたら厄介なので、私は電車で向かうことにした。


大和くんは私が車に乗っていけばいいと言ってくれたけど、私が拒否し続けた結果、そうなった。



「じゃあ菜緒ちゃん、気をつけて」


「うん。大和くんもね」



マンションの前で別れ、私は最寄り駅へ。
こういうのも懐かしくて、全然アリだと思う。


本当は歩いても余裕で行ける距離だけど、大和くんがやかましいから、電車で。


謎に心配症なのよね、あの人。


ていうか、どんな距離でも八代さんに送ってもらうことが当たり前になっているせいだろうね、きっと。



車で送ってもらうときよりかは時間が掛かったけれど、特になんの問題もなく職場に到着。


打刻して、エプロンつけて、いざレジに立つ。


…………誰も来ず。
暇だから商品を綺麗に陳列しておこう。


実はこの作業が大好きだったりする。
商品の陳列をひたすらやっていたい。そう思うほどに好き。


時折やってくるお客さんの対応をしつつ、私は商品陳列に勤しんでいた。


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