6月が君を連れてくる

01@[忘れられない元カレ](1/18)


「俺と付き合ってくれないか?」



なまぬるい風に吹かれる6月某日。お洒落なレストランでディナーを楽しんでいたとき。


最後のデザートをわくわくしながら待っていたあたしに、それは向けられた一言だった。



正直に言うと、驚きはさほどでもない。彼からの好意を感じ取っていなかったわけではなかったから。


そう。いつか想いを伝えてくれるような、そんな気がしていた。だから今夜の食事の誘いを受けたとき、同時に覚悟も決めていたの。




向こう側の彼に目を据える。あたしの反応を待つその瞳は、一瞬だけでも逸らしてしまいたくなるほどにまっすぐだ。


彼のそれを見るたびに、あたしはあの頃を思い出す。楽しかった高校時代夢中だった恋愛のことを。


だからこそ、あたしの答えは決まっていた。


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