赤目は葉月に宙浮かぶ
[ミナモ](1/1)
――浮かんだのは、私。
ゆらゆら、ゆら
水面に浮かぶ黄昏が
時間の流れをゆらり留めて
凪いだ視界がゆらり身体を横たえる
耳を撫で行く七色の音が
指先も、心の臓さえも淡く融解してしまう
溶けて、蕩けて
私の意識もきっと大気に浮かぶのです
こぽこぽ、こぽ
水面に沈む言の葉が
小さな明かりをぽつり残して
流れる記憶にぽつり小さく蓋をする
手を引く無色の歌声が
白昼に、静寂に、優しく息を吹き込んで
泣いて、鳴いて
私の声も、きっと透明になるのでしょう
ゆらり
浮かんだのは、赤橙の意識
こぽり
沈んだのは、無色の私
沈んだ私はいつか、きっとまた
静寂とともに、ゆらりこぽり浮かぶのでしょう
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