一瞬、何が起こったのか解らなかった。
玄関の扉が開いたと思ったら
私の腕を掴んだ人が倒れていた。
『雅さん、お帰りなさい』
綺麗な笑顔を浮かべた、灯夜が立っていた。
『あ、煌李さんも一緒だったんですね?』
『う、ん。』
気まずそうに頷く、煌李。
『それで...そこで“寝ている”方は誰ですか?』
...寝ている?
伸びている。
の、間違いじゃないの?
「...えっと...」
説明の仕方が難しい。
『元カレ?』
煌李が真顔で見つめてくる。
ぴくりと、眉間に皺を寄せる、灯夜。
「違うよ」
それは絶対にありえない。
『では、誰ですか?』
「はっ!」
伸びていた人が、ぱちりと目を覚まし、体を起こす。
「さあ、帰ろう。今すぐ帰ろう。」
再び、腕を掴まれる。
『その手...』
煌李が睨み付ける
『離してもらえますよね?』
灯夜が微笑む。
...笑顔が怖い。
「...お前ら、雅の何」
これが、自分の身に起こっている事でなければ、修羅場な気がする。