蒼い月の下、君と出逢う
[貴女の心を僕で埋め尽くしたい](1/12)
……昨日、鍵を閉めて、チェーンもかけたのに、何故
普通に、キッチンで料理をしているのでしょうか…
(若干どころか、かなり怖いんですが…)
雅の気配に気付いたのか、灯夜は、振り返る。
「雅さん、お早う御座います。夕べは良く眠れましたか?」
「あ、お早う…まあ、それなりには…」
雅は、そう言って、慌てて玄関を見る。
チェーンが切られた形跡は…無い。
(外側から、チェーンって外せる物なのかな??)
「ねえ、灯夜、貴方どうやって、此処に入ったの?」
「普通に玄関からですが?」
「チェーンが掛かっているのに?」
「ああ、掛かっていましたね」
「チェーンって簡単に外せるの?」
「…コツさえ解れば、簡単に外せますよ」
「………ねえ、灯夜、貴方…泥棒とかじゃないわよね?」
と訊いて普通、泥棒ですよ。と答える人が居ない事くらい解るけど、訊いてみる。……口封じとして殺されるかも知れない。
でも、訊いてしまったから、後には引き返せない。
もし、本当に泥棒なら、携帯で警察に連絡しよう
雅は見るからに、警戒している。
「雅さん…そんなに、僕が信用出来ませんか?」
「…………」
雅は無言で灯夜を見る。
「僕は、誰かの物を盗む様な野蛮な事はしません。」
「……………」
「雅さん…僕は、兎なんです」
「は…?」
(何、急に)
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