僕らはまだ、恋を知らない。


 お友達に、なりました。 (1/40)



 





「そういえば、他に真尋から何聞いた?」

「へ?」



あれから2人で適当にいくつかの屋台に並んで食べ物を買い、袋をたくさん持って集合場所へと向かう。

その途中で、ごく自然にわたしよりもたくさんの袋を持ってくれている藤枝くんが少しだけ眉を寄せてそう訊ねてきた。



「あいつのことだからあることないことペラペラと喋ったんだろ。チッ…考えただけでイラつく」



藤枝くんて、水瀬くんのこととなると表情が本当に多彩というか、気取らない素の表情になる気がする。

それくらい、2人は良い親友同士ってことなんだろうな。

晴れてわたしもちゃんと損益の関係ないお友達となれたわけだけど、そこまでの存在になれることはきっと一生ないんだろうな……



「あ…そういえば、じゃんけん…」

「じゃんけん?」



他に水瀬くんから聞いたこと、といえば、その話とかだよね。

たぶんこのまま彼が自分の癖に気付かないままだと、一生水瀬くんにもてあそばれてしまうんじゃないだろうか。

それは可哀想だよね………


 



‐152‐


/717 n

しおり

登場人物紹介



⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

.


[←戻る]