隣の席の瀬戸くんは。
[episode1](1/12)
「みんなクジ引いたら黒板に書いてある番号見て各自移動してくれ〜
クジの交換は禁止だぞ!」
先生がみんなに呼びかける中、私は教卓の上に置かれている小さなお菓子の空き缶の中に手を入れた。
前になりませんように。
もっと欲を言うならえっちゃんとまりちゃんと近くでありますように。
そう心で願いながら紙を取った。
28。
恐る恐る黒板に書いてある番号を見ると、窓際の一番後ろだった。
「やっ……!!!」
喜びの声が思わず声に出るところだった。(少し出たけど)
私ったらついてる!
一番後ろ、しかも窓際になるなんて。
神様ありがとう。
「夏菜子〜!席どこだった?」
「ジャーン!見て、窓際の一番後ろ!」
ドヤ顔で番号が書かれた紙を友達のえっちゃんに見せた。
「うっわずるすぎ夏菜子。私から教卓の列の2番目だし。
席離れちゃったね。」
先生に1番目につきやすそうな席だ。
離れたのは残念だけど、自分じゃなくてよかったと思わずホッとした。
「まりどこだった?」
えっちゃんの呼びかけに、 まりちゃんが振り向いた。
「12番だった。夏菜子とそこそこ近いしそんな悪くない席かも!」
「うわ二人とも、ずるい!」
「ほら、そこくじ引いたなら早く席移動しろー!」
先生に呼びかけられて、はーいと返事をして机の移動を始めた。
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