夜ニ舞ウ桜
[思ひで](1/7)





毎年桜が咲く頃になると人間どもがよくこの河原にやってくる。



そいつもその1人だった。
腹は少し膨れておったなあ
まだ娘が生まれるずっと前だった。


私はそやつの名を何処かで耳にした。

そやつの名は仁科。
可憐でどこか妖艶で抜け目のない女だった。
しかし桜を観にくる仁科はいつも1人だった。

赤子の父親も連れずに、1人であった。


聞くところによると、病死したらしい。


何故か私と彼女は会話ができた。


『体質』といっているが、その首から下げているもの、妖力石が原因だと私は気づいた。


彼女は1人の男に言い寄られているらしい。

断ったらそれはそれで申し訳ないと悩んでおった。


そんな時に出会ったのは清彦であった。



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