[穢れの櫻](1/31)
その日晴明は始まりの神社に来ていた。
目的は櫻。
「ここまで穢れていたか………」
木枯れが気枯れを呼び、穢れとなる。
そしてその穢れを祓うのが陰陽師の役目。
「さすがにここで木枯れが起きると都に影響するしな」
晴明は柏手をうち、祝詞をあげる。
櫻を桜にする。
ただそれだけの目的で。
祝詞が終わり、もう一度柏手を打つと桜は桃色の花を咲かせた。
「やはり美しいな」
先程までの紫とは違う、桃色の花。
紫の花は穢れの浄化。
桜は穢れを吸って浄化の働きをなす。
だが、その浄化が穢れの進行よりも遅れてしまっていた。
それを間一髪で晴明は止めたのだった。
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