魔法使いの小さいオッサン
[エピローグ](1/7)
―5年後
庭の花壇に咲いたチューリップは、色とりどりの花を咲かせ、春を演出していた。
2羽のモンシロチョウが、窓の外で踊っている。
室内には黄色い日差しが差し、注いだばかりのコーヒーをキラキラと輝かせた。
「可奈、いい家じゃな〜い。」
榊詩織は、カーテンを開け庭を見渡した。
その後ろを、4歳になる詩織の息子は、チョコチョコとついて行く。
「ふふ。ありがと。」
「いいなぁ、ウチもそろそろ買おうかな。」
「でも、ローンが大変。そんなに甘くないって、実感したよ。」
「旦那さん獣医だから、ヨユーでしょ、ヨユー。」
詩織はテーブルに戻り、コーヒーを一口飲んだ。
「なワケないでしょ。舜(しゅん)くん、オレンジジュース飲む?」
「うん。飲みたいです。」
「何?すごい、おりこうさん!」
「外面がいいだけよ。あれ、可奈。由衣(ゆい)ちゃんは?」
可奈は、オレンジジュースを注ぎながら答える。
「あの子は、旦那似だから、どこかの部屋で一人で遊んでるわ、きっと。」
可奈が目の前にオレンジジュースを置くと、舜は目を輝かせた。
「愛想の悪いコ。呼んでくる。」
そう言うと可奈はリビングを出て、廊下で声を張り上げた。
「由衣ー!!おいでー!!」
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