魔法使いの小さいオッサン
[春の夜](1/12)
ゴールデンウィークは明けたが、河川敷には梅雨までの束の間の陽気を楽しもうと、多くの家族連れやカップルで、賑わっていた。

広い芝生広場を、所狭しと駆け回る子供や、じゃれあう小型犬。

それを、幸せそうに見つめる大人たち。

少年野球の試合からは、時々カキーンという心地良い音が聞こえてくる。

抜けるような青空に、細い飛行機雲が一本の線を引く。

あの飛行機は、どこへ向かっているのだろうと可奈は考えた。

なだらかな土手の芝生に座り、可奈は背伸びをした。

「う〜ん。気持ちいいな〜。」

サチの墓参りの帰り、天気もいいので回り道して帰ることにした。

河川敷を選んだのは、どうやら正解だったらしい。



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