魔法使いの小さいオッサン
[頼る人](1/9)
「清水さーん!!いるなら返事してよ!!」
部屋中を引っ掻き回したが、全く見つからない。
昼間の夢のような出来事は、既に全て後悔の材料でしかなかった。
可奈は、アパートを飛び出した。
近所に交番があったはずだ。
信じてもらえないかも知れないが、とにかく話すしかない。
咄嗟に履いたサンダルは、可奈の走りを邪魔するばかりだった。
可奈はサンダルを脱ぎ、素足でアスファルトを走ることを選んだ。
何よ、あの小人。
何がしたいのよ。
魔法使い?
使ったのか使わなかったのか、わからないような魔法じゃない。
理屈屋で、小心者。
ある日突然現れたかと思ったら、今度は突然消えて。
無事見つけたら、殺虫剤をぶっかけてやる。
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