短編小説です
[勝負の行方](1/4)
【勝負の行方】ツバサカリン
〜高1 秋〜












「ねぇカリン


「んー?」



俺の目の前に座り
ノートに鉛筆を走らせてる
カリンに声を掛けると

ノートに視線を置いたまま
気のない返事が返ってきた。



「何で今どき鉛筆なの?なんか小学生みたい」



頬杖をつきながら
ぼんやりとカリンの手元を眺めていて
ふと、不思議に思った事を口にする。



「シャーペンの芯ってすぐ折れるじゃん」



カリンは面倒くさそうに視線を上げて
俺が手にしてるシャーペンを指差した。



「カリンの力が強過ぎなんじゃね?」


「芯が弱いだけだよ」


「いやいやいや、加減するでしょふつー」


「それにカチカチ鳴らすのも嫌い」


「は?」


「シャーペンの芯出す時のあの音」


「あぁ、これ?」



俺はシャーペンの芯を
カチカチ鳴らしながら出してみせる。



「そう、それ。その音嫌い」


「なんで」




初めて聞いたぞ
シャーペンの芯出す時の音が嫌いって人




「知らない。嫌いなもんは嫌いなの」


「へー」



カチカチカチ、カチカチカチ、



「ケンカ売ってんの?」


「あはは、買ってくれる?」


「早く勉強、来週テストだよ?」


「分かってるけどぉー」




せっかくカリンと二人でいるのに
全然構ってもらえなくて
寂しいんだよ、

もっと俺の事を見てよ

そんな分厚い教科書なんかほっといてさ

俺とくだらないお喋りでもしよう?

俺の知らないカリンの事
もっといっぱい教えてよ




なに?」


「なにが?」


「なんでジッと見てるの?」


「可愛いなぁって」


「バカじゃないの?」




素直に思ってる事を口にしたら
「バカなこと言ってないで勉強しろ」
カリンに頭を叩かれた。




「なーんかやる気出ないんだよねぇ」


「やる気が無いのはいつもの事でしょ?笑」




まぁ確かにね。
勉強なんか昔っから大嫌いだし。

カリンが「一緒に勉強しよ」って
誘ってくれなかったら

今ごろ俺は自分の部屋で
ゴロゴロしながら漫画を読んでるか

友達と一緒にゲーセン行って
近くのビリヤード場で玉突いてるか

そんなところだろう。




「勉強楽しい?」




学年でもトップクラスの頭脳を誇るカリン

勉強が趣味なんじゃないの?

なんて周りに思われるほど
勉強ばかりしてる気がする。




別に」


「じゃあ何で勉強ばっかしてんの?」


「だって、勉強は学生の義務でしょ?」




カリンは本当に真面目だな

けど毎日、毎日、勉強ばっかじゃ
息が詰まらない?

たまには羽目も外さないと。

──って、俺は羽目を外し過ぎか。笑















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