短編小説です
[幼なじみ](1/3)
【幼なじみ】コウハナ
〜中学3年の夏〜








「ねぇ、コウー」


「んー」


「キスってした事ある?」


「は?」



クーラーをガンガンに効かせた部屋の中
自分のベットで横になり
いつもの様にマンガを読む俺に

幼なじみのハナが
ベットを背もたれにして座りながら

背後にいる俺の方を振り返った。




「だーかーらッ!キスッ!した事ある?」


お前さ、確か俺の幼なじみだよね?」


「え、うん」


「じゃあ知ってるんじゃないの?俺がまだ誰とも付き合った事ないって」




彼女も出来た事ないのに
キスなんてした事あるわけないじゃん。

何言ってんの?



鼻で笑う俺にハナは
少しムッとした顔をしてから

「じゃあセックスは?」

なんて無表情で聞いてくる。




「ぶッ!!はあッ!?」




バカ野郎、ビックリし過ぎて
思わず吹き出しちまったじゃねぇか。




「汚ったなッ!唾飛ばさないでよバカッ!」


「痛ッ!どっちがッ!?つか、何言ってんの?頭大丈夫?」




何で俺がハナに頭を
叩かれなくちゃいけない?

マジで意味不明なんですけど。




「サッちゃんと田中くんキスしたんだって」




あーそういう事ね

ハイハイ分かりました

そーですか、そーですか

君は今、傷付いてるんですね

片想いの相手が
友達とキスしたって聞いて

ショックを受けてるってわけですか。




「ふーん」


………


………



バシッ!!
読みかけの漫画に再び視線を落とした俺に
ハナがクッションを投げつけた。



「痛っ!!もぉー何?俺に何て言って欲しいわけ?」


「他に言う事ないわけ?この薄情者ッ!」


「はあ?意味不明なんですけど」




''残念だったな''
''他に良い男はいくらでもいるよ''
''んな落ち込むなって''

そんな上辺だけの気持ちの無い言葉なんて
何の意味もないだろ?

何を言ったってお前の心は
納得なんてしないんじゃないの?




「慰めてよ」


「どんな風に?」


「優しく」


「優しくってなに」


「頭撫でるとか」


………



少し乱暴に頭を撫でてやる。



「全然優しくないし嬉しくない」


「じゃーどうしろって


「キスしよっか」


「は?」



ショックのあまり頭でもやられたのか?

自分が何を言っているのかも
分からなくなっているらしい。

これは重症だ。


















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