この事故、大したことありませんので……
[次の予定](1/6)



車内は、
回転寿司屋へ向かっていた
時とは違って、
静寂なままだった。



「音楽でも、かけましょうか?」



明さんの提案に、

「あ、はい」

と俺は返事をする。



スピーカーから流れて来たのは、
最近流行りの
男性ミュージシャンの曲だった。


「このミュージシャン、
今、人気すごいですよね!

俺も、
この人の曲はよく聴きますよ!」


「私、
この人が紅白に出てたのを観て、
一気に好きになりました。

シンガーソングライターで、
全てこの人が創ってるんですよね。

本当にすごいです」


「絵を描いたり、
ダンスしたりもしますよね!

すごい才能持ってますよね。

出身は確か……」



人気ミュージシャンの話題で、
それまで静かだった車内は、
嘘のように盛り上がった。



そうこうするうちに、
車は目的地までたどり着いた。



「今日は、
ありがとうございました。

気をつけてお帰りください」

「こちらこそ、

ありがとうございました」



俺は、車を降り、
原付に向かって歩き出した。



次の予定もないままに。



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