隣の上司はよく食う上司だ
[13、隣の上司の弟](2/13)
「海斗さーん!できましたよーー!!」
さてさて、昨日の緊急会議地獄絵図から一転、今日は水族館デート。
一応デートということもあり、海斗さんの部屋から一度自分の部屋に戻って着替えやらメイクやらをしてきた私。
普段着ない花柄のワンピースなんか着ちゃったり髪巻いちゃったりしてちょっぴり気合いを入れてみた。
私の呼び掛けに対して『わかったーー』という声が聞こえ、ドアが開く。
そして、一時停止。
…………。
「あの、海斗さん??」
「………………」
「海斗さんってばーー」
「……………………」
「海斗さ、「このまま部屋に連れ込みたい」……いや、ダメダメ!!」
う、腕離して!一回落ち着け!!
「ほら、水族館!行くんですよね!!」
「…………誰の目にも触れさせたくないくらい可愛い、んだけど。」
「な、な、!!!」
「マジで、可愛いよ。」
「……!!!」
ごめんなさい皆さん。こんなバカップルの会話を聞いてても鳥肌たつわ!って感じですよね。わかります。
でも私、ドストレートな言葉に返す言葉も見つからず、ただ口を開けることしかできないんです。つまり、ポカン顔。
かろうじて海斗さんが私の腕を引っ張って部屋に連れ込もうとしているのに抵抗して、踏ん張る。ここで連れ込まれたら絶対にベッドまっしぐらだもの。
「……海斗さん、行きますよ。」
「うん、わかってる……可愛いな。」
「も、もう、いいですから。そういうこと、言わなくて、!」
「どうして?可愛いもんは可愛い。言わなきゃ伝わんないだろ??」
「十分!十分、伝わってますから!!」
海斗さんは私の顔を覗き込んでニヤニヤ。うわ、この人のSスイッチ押した奴誰や。
すると海斗さんはやっとのことで部屋の外へ出て鍵を閉めたが、私の腕をとったまま動こうとしない。
「え、……海斗さん?」
「俺は?」
「へ?」
「俺はどうなんだよ、由香?」
「…………。」
……つまり、可愛いに相当することを言えと。
うっわ、こういう改まって言うのメチャクチャ恥ずかしいよね。
私は顔が熱を持つのを感じる。
「由香?ほら、言ってよ。」
「わ、わかってる、くせに…、」
「さっき言ったじゃん。ちゃんと言わなきゃわかんないって。」
「…………。」
「あれー?いつもの強気な由香はどうしたんだ??」
……カッチーン
「……………………てますよ。」
「え、?」
「……愛してます、よ?」
「ーーーっ!!!!」
「すいませんね、十分伝わってるかと思って。愛してますよ、大好きです。海斗さん。」
「あーーあーーあーー!!!」
……海斗さんが壊れた。
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