隣の上司はよく食う上司だ
[8、隣の上司と、?](14/14)


…………。


「どうします、無視します?」
「その選択が可能ならお互い苦労しないだろ。」

……確かに。
私と部長は軽く溜め息をつきながらお互いの体を離し、携帯を手にとる。会社でもプライベートでも空気読まない社員が多すぎないかうちの会社。社員教育がなってないんじゃないですかね、社長?……そうか、社長自体が空気読まないもんね。

私はLINE、部長は電話に出た。
私の方は携帯の画面を見ると、『坂口』の表示。あいつ、空気読んでいない訳じゃなくて故意じゃないのか。逆に空気読めてるやつかもしれない。たち悪い。

トークを開けるとそこには二つのメッセージ。

『笹原ー♪(/ω\*)』
『生きてるーー?( ゜ρ゜ )』

……なんだこの顔文字ムカつくな。坂口にそっくりだ。いや、協力してくれたのは忘れてないよ。
というかこのメッセージ、私が死んでた場合どうするつもりだったんだろう。おそらく私だったら携帯画面か坂口の顔面かをバキバキにするつもりだけど(どうやってかは秘密)、そうなるとこの顔文字のようなラブリーな表情を崩壊することとなるだろう。つまり何が言いたいかというと、もっとデリカシーを持て坂口。以上。

かと言って既読無視するほど坂口のことを無下にしているわけではないので、ちゃんと返事をする。

『残念ながら生きてる。』
『お前も幸せになれよ。』

多分顔文字について突っ込みを要求してるんだろうけどあえてスルー。真面目な返事をしてやる。……するとすぐに既読がつく。どうせ私のことなんて気にしてないフリをしているくせしてスマホの前で正座して私の返事を待っていたんだろ知ってるぞ。

『俺はまだ諦めねぇから。』
『覚悟しろよ!!!』

……どうしよう、覚悟できそうにない。
今のところ覚悟できる予定はないので、とりあえず既読無視することにした。うん、無下にしているわけではないよ。

私が坂口に返信を終えた頃、部長も電話を終えたらしく携帯を耳から離していた。

「……誰からでした?」
「社長からだ。……詩音と食事会をしろって。」
「え…………」
「おい、そんな心配そうな顔するな。社長もいる。それに……、」
「それに?」




「……お前も、来い。」



ーーーはいぃ??











- 95 -

前n[*][#]次n
/372 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]