隣の上司はよく食う上司だ
[6、隣の同期と三角関係?](2/12)
「……って感じでそのまま寝て、風邪引きました。」
「お前はバカか。」
月曜日の朝、マスク姿で現れた私に呆れた様子の部長。
飲み会があった日は休日出勤だったため土曜。熱が出た昨日は1日休んでいたのだが、今日の朝まだ体が熱かった。
とりあえず風邪薬を飲んで熱をねじ伏せ、今に至る。
「熱は?」
「多分ないです。」
「多分ってなんだよ。」
だって、熱測って高い数値見た瞬間に精神的にやられるんだもん。熱あるっていう自覚なければ大丈夫な気がするのわかりません?わかりませんかそうですか。
「とにかく、大丈夫です。」
「無理すんなよ、早く帰れ。夕飯もいいから。」
「いや、もう作っておきました。麻婆豆腐なので温めて食べてください。」
「……抜け目ないな。」
当たり前だ。食事係皆勤賞は守り抜きたい。それに、あんなに私の食事を楽しみにしてくれてるのだ。作らないわけないだろう。
食欲がなかったので朝御飯をほんの少し食べ、いつも通り部長に車で送ってもらう。
「……部長。会社、大変なことになってたらどうすんですか。」
「大変ってなにが?」
「……自覚ないって怖いですね。土曜の飲み会のやつですよ。どうすんですか。どうやって言い訳するつもりですか。」
「あぁー……言い訳しなくていいんじゃね?」
「いいんじゃね?の意味がわからないです。それに最高に頭弱そうです。」
「えぇー、だって、俺がお前のこと好きなのは嘘じゃないし。」
「ーーっ!!ゲホッ、ゲホゲホッ……ちょ、いきなり爆弾落とさないでくださ、いよ。」
「はは、じゃあ小出しにするよ。」
「そういう問題じゃない!!」
車の中で部長はケラケラ笑う。いつもは私が優位に立っているのになんとも悔しい。
でも風邪でそんな気力もない。
はぁ、こんな調子じゃ自分でデスク荒しを乗り切るしかないかな……
少しして、車が会社に着く。あぁ、憂鬱。
いつも通り始業20分前。部長と一緒にエレベーターに乗り、私たちのデスクがある階に到着する。
…………なんだ、あれ。
「……部長、すごい嫌な予感がします。」
「……だな。」
私たちのデスクに群がる何人もの女性社員たち。坂口も柏木ちゃんも避難しているのかデスクにはいない。
あ、その女子軍団と目が合っちゃった……
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