隣の上司はよく食う上司だ
[6、隣の同期と三角関係?](12/12)


「笹原さん!!昨日、大丈夫だったんですか!?」
「うん、何とか。柏木ちゃん、仕事片付けてくれてありがとね。」
「いーえ!あれくらいおちゃのこさいさいですよ!!」

あなたは他の場所の方がきっと活躍できるよ、柏木ちゃん。
……なんてことは声には出さず私は彼女の頭を撫でる。

昨日熱にうなされたものの坂口の買ってきてくれた薬と10時間ほどの睡眠で次の日には何とか回復した私。
ただし部長と坂口という飲み合わせの悪い二人のせいで頭痛は継続中。半分くらい嘘。

「おはようございます、部長、坂口。昨日はありがとうございました。」
「おう、笹原。もう良くなったのか?」
「うん、だいぶ。ありがとね、坂口。」
「まぁ、俺が献身的な看病したからな。」
「部長は少し黙ってもらえますか……坂口、お粥美味しかった。ありがとね。」
「おう、愛情たっぷり入れたからな!」
「……。」

ダメだ、頭痛が酷くなりそう。ごめんなさい、やっぱりさっきの全部本当かも。
部長と坂口は無駄に明るい笑顔をお互い向けているものの、全く目が笑っていない。完全に火花バチバチ。これ以上デスクを荒らしてどうする。

そんな二人の様子にも気がつかず、柏木ちゃんは暢気な声で部長に声をかける。

「そういえばー、昨日、部長に事務の人から伝言がありましたよー」
「え、俺に?」
「部長なんかしたんすか。」
「その疑う目はやめろよ。応接室にある菓子を少しくすねたぐらいしかしてない。」
「何してんすか。」

本当何してるんだ。お腹空いたからと言って小学生並みのことしてどうする。
私や坂口に呆れ顔で見つめられた部長は、『仕方ないだろ、腹減ってたんだ。』とあんまり悪びれない様子。誰かこの人しつけてちょうだい。

「いや、そうじゃなくて、」

そんな部長に柏木ちゃんは戸惑う素振りでこう告げた。


「……今日、こちらに社長がお越しになるようです。」







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