海底の一輪花
[展開](1/5)
「ソフィア様、今日のキッシュ美味しいですね。

お芋を、大きめに切ったのは正解でしたね、



ソフィア様?」



ソフィア様の家政婦をやって約3週間が過ぎた。
早いものだ。


いつものように一緒に晩ご飯を頂いていると、ソフィア様が黙ったままでいるのに気づいた。


「ルシア。


私、あなたを手放すことはしたくないわ。」


手放す?
今から話されることは、決して良いことではないのは、安易に想像できる。
自然と体が強張る。


「それは、どういう」


「でも、ルシア。


あなた、後悔してるのね。」


「こう、かい?


い、いいえ!
ソフィア様、私ソフィア様に仕えて後悔なんぞしたことはありません!!


幸せです!ルシアは、まごうことなき幸せ者です!」


「ちがう、そうじゃないわ。


隣国のことに関してよ。」


それ、は。



しています。
後悔ばかりしています。」


「そう。



申し訳ないけど、わたし、
そんな中途半端な気持ちで家政婦をやられても気分が悪いの。

だからルシア。
あなたを解雇するわ。

明日の朝には出て行ってちょうだい。」


「なっ、?!」


「聞こえなかったの?

明日の朝には出て行って。

今日のうちに荷物まとめなさいよ。

わかったわね。」


唐突で、言葉を失う。


「ソフィア様、わたし、
ソフィア様の家政婦として精一杯
努めてきたつもりでした。


だって、後悔してもしょうがないことではありました。


でも、後悔しないことの方が、私にはつらく思えます。


だって、大好きだったのっ、


後悔するのは、そんなに悪いことですか






もう、中途半端だと思われるようなことはしません。


だから、ソフィア様、



ソフィア様まで、わたしのこと、見捨てないでっ


あと洗い物、よろしくね。」







どう、してっ


これも、罰ですか?


みんなを裏切った?



静かに席を立つソフィア様の背中は、
いつもより小さく、悲しそうに見えた。


そのことを不思議に思ったけど、


頭が追いつかなくて、


なにも言えなかった。




静かに洗い物を済ませて、荷物をまとめた。



- 36 -

前n[*][#]次n
/43 n

⇒しおり挿入


⇒作品レビュー
⇒モバスペBook

[編集]

[←戻る]