間もなくして、秀斗の家に到着した。
秀斗はワンルームマンションに住んでいるようだった。
「先にお前シャワー浴びてこいよ」
「…いいよ、秀斗先に浴びてよ」
「遠慮すんなって、ほら」
そう言って笑う秀斗は、濡れた右肩を拭いている。
きっと右肩だけが濡れているのは、自分を傘に入れてくれたからなのだろうと、真雄は気づいた。
秀斗はいつだってそうだ。
他人に優しくて、気遣いを忘れない。
真雄を濡らさぬようにしてくれていたことも、歩幅を合わせて歩いてくれていたことも実は、真雄はずっと気づいていた。