火竜に継ぐ唄風

(番外編)火竜人ノ歴史 ( 1 / 4 ) 



  ランプに炎を灯らせる。手にとったランプはゆらゆらと揺れて中にある火は常に垂直に上がるよう反発するように揺れる。

 マナカの家の床のとあるヶ所。木であるそこをめくると地下へ続く階段が姿を現した。奥へ進むと少し広い部屋に到着する。暗闇に沈んだその部屋にランプの明かりを照らすとやや眩しく感じ、共に微量に空気中を舞う埃を肉眼でみることができる。

 ランプに照らされたその部屋は壁が全て本棚になっている。本一冊一冊が資料であり、いつしかハンターズギルドに提出するレポートもここの資料を参考にしているのだ。

 何時、こんなところに地下室を作り、こんな資料を誰が何のために作ったのかわからない。

 数年前、地下室を発見して驚き、オババに聞いたところ。マナカの両親が作ったということを聞かされただけだ。

 小さいころに預けられ、自分の両親の姿も知らない。家族を知らないマナカにたとえ両親がこの世をすでに去っていても心に残る傷はそう深く感じることができない。

 リオスの様子が気になり手掛かりがなにか掴めるかもと本を捜し出す。しばらく経ち取り出した一冊の黒い本。それは……

『リオレウスの書』

 リオレウスの生態や甲殻の成分、ハンターには攻略法まで書かれている。素材は紅蓮石やドラグライト鉱石と相性が良いなど詳しくほぼ全ての情報が詰まった内容は誰もが持っていても損はしない。

 そんな資料をマナカは埃を払い、ランプの明かりを頼りに目を通してゆく。


- 26 -

×しおり×
/40 n


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?
BACK