消えたい、想うのと同時に。


*      消えたい、 (1/1)









 もう、疲れた。


 もう、消えちゃいたい。


 冗談まじり、友達との会話の中

 はたまた

 本気で、一人 暗い部屋の中で


 誰しも、そうやって想うこと

 あるでしょ?


 私ね、今本当に

 一瞬でこの世界から

 消えたいなって想うの。

 だって、変わらないでしょう?

 私一人、この世界から消えたことで

 地球は今と同じように、まわり続けるのだから。


 そんなふうに考えると、私、

 「いらないな。」


 だから私はわざと翼を折って

 落ちちゃうことにしたの。






 だけど、



 不思議ね、

 私が消えても変わらないのに


 いろんな大切な想い出が

 頭の中を走馬灯のごとく駆け巡っていくの。

 あぁ、あの日は確か

 お母さんが塩と砂糖を間違えて。

 お父さんが凄い顔したから、

 私と弟が大爆笑したんだっけ?


 飼ってる犬はいつも私なんかに

 甘えてきてくれたな。









 捨てよう、別れを告げようとした

 なのに涙がこぼれるのは何故でしょう?


 別れを惜しくなる理由はなんでしょう?


 消えるのと同時に失うもの。


 失うものが、今の私にはキラキラしすぎて


 嗚呼、涙がとめどなく溢れてくる。









       「消えたい、想うのと同時に。」


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