もう、好きじゃないよ。 (1/10)
「なぁ、大丈夫かよ?」
そう言って涙を指で掬ってくれた。
「ごめ…っ…、違う…。」
こんな顔させたいわけじゃないの。
こんな優しさならいまはいらないの。
もっと強く、突き放してくれたら、
もっと冷たい人だったらよかったのに。
君に言いたい言葉と同じくらいの涙があふれてくる。
あぁ、もういや。
「おい、教室戻れないだろ?」
「…大丈夫…。戻る。ごめん。戻ろう?本当ごめ…「謝んなくていい。」
ごめん…。
これしか出てこないんだよ。ごめん。
「………。」
「……………。」
涙を自分で拭って、立ち上がり私たちは教室に戻った。
私たちになにがあろうと時間は変わらず進むし、
教室という箱に私たちはいなきゃいけなくて
関わらないなんて無理なことで…。
今日は周りの声がやけに遠くに聞こえた気がした。
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