unLUCKYday
[第六章](1/29)
********************
その感情の始まりは
まだ社会を何も知らない
真っ直ぐな彼女への
怒りと憤りだった。
********************
「仕事をしてて…、楽しいと思う時はどんな時ですか……?」
就職説明会。
最後の10分。
学生の質問コーナー。
残り数分の最後の最後に、挙手してあてられたのが、彼女だった。
俺は学生の陳腐な質問にも適当に交わして、一刻も早くこの場から解放されたい思いでいっぱいだった。
前から数列目に座っていた彼女は、人事部にあてられて、スッと立ち上がった。
平均的な身長と、まだあどけなさが残る子供っぽい顔。色白の肌。
この時までは特に印象には残らない筈だったのに。
彼女の質問に、俺は一瞬、息が詰まる程だった。
「経済学部の佐伯凛です。
恩田さんと岡田さんにお伺いします…。
仕事をしてて…、楽しいと思う時はどんな時ですか……?」
唖然とした。
彼女の言葉を咀嚼することが出来ない。
楽しい?
何を言ってる?
(閲覧:98178)
- 131 -
前n[*]|[#]次n*しおり
[編集]
←back