unLUCKYday
[第六章](1/29)
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その感情の始まりは
まだ社会を何も知らない

真っ直ぐな彼女への
怒りと憤りだった。


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「仕事をしてて…、楽しいと思う時はどんな時ですか……?」


就職説明会。
最後の10分。


学生の質問コーナー。

残り数分の最後の最後に、挙手してあてられたのが、彼女だった。


俺は学生の陳腐な質問にも適当に交わして、一刻も早くこの場から解放されたい思いでいっぱいだった。


前から数列目に座っていた彼女は、人事部にあてられて、スッと立ち上がった。

平均的な身長と、まだあどけなさが残る子供っぽい顔。色白の肌。


この時までは特に印象には残らない筈だったのに。


彼女の質問に、俺は一瞬、息が詰まる程だった。



「経済学部の佐伯凛です。

恩田さんと岡田さんにお伺いします…。
仕事をしてて…、楽しいと思う時はどんな時ですか……?」


唖然とした。
彼女の言葉を咀嚼することが出来ない。

楽しい?


何を言ってる?





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