あの夏の夜は

★[堕ちた星](1/19)











ドサッ!!!









あたしとカナタは、萬田先輩の持っている壊れた石膏の手を凝視したまま。

















セツナとミツルと、楠先輩は音がした中庭の見える、美術室の窓辺に走って行く。










「そ、、それ、、せ、、せんぱ、、」









あたしは、震えて声にならず、カナタもいまだ固まっている。










石膏の手のもがれた手首の部分から、真っ黒いズルリとした何かがが、垂れ下がっていた。










「なんだよ、それ。」






それが何だかわからなくても、人間は見てはいけないものを本能的に理解しているものだ。










セツナ達の叫び声が背後から聞こえてきても、あたしたちは、石膏の手から目をそらせずにいた。














石膏の手から、ズルリと出てきている、黒く長い髪の毛から。












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