‥‥君へ‥‥
[零](1/1)
冷たい雨が頬を濡らしている、雨なのか涙なのか正直分からない‥が今はそんな事はどうでもいい。俺は崖の下を睨む様にずっと探していた。そこにいる筈の彼女、希女羅(キメラ)が何処を探しても見つからないからだ。「何処かに引っ掛かって、もしかしたら助かった?」有り得ない想像を期待しながらも更に探そうとした。後ろの奴等が俺を殴りつける迄。「グッ」後頭部を殴られ薄れゆく意識の中、聞き覚えのある声を聞いた様な気がする。‥ごめんね。「希女羅?」
‥‥気付くと見知らぬ場所にいた。天井を見上げるも何もない。「何もない天井だな」苦笑いを浮かべつつ身体を起こそうとするも起こせない事に気付く。「拘束着!何で?」その時奥から医者らしき者が現れた。手には注射を持っている。「注射は嫌いなんだ。飲み薬に‥」最後の言葉を発する前に見知らぬ薬液が体内に取り込まれて行くのを感じた。身体に激痛がはしる。「これで終わりか。嫌いな注射打たれて死ぬのは嫌だ。」医者が嘲笑うかの様に俺を見下している。「クソったれ」俺は奴を睨んだ。今の自分に出来る事はこれ位だからだ。それを悟してか奴は俺の耳元で呟いた。「希女羅の苦しみを死ぬまで味わえ」「!!何故?」そう思った瞬間暗闇に引きずり込まれて行った。




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