【捧げもの集】
[お正月](1/1)
十夜様、お年賀ありがとうございました!
人混みを眺めながらライミリアンは腕を組む。
その左肩に、後ろからトスっと手を当てたのはギルディアスだ。
その相手に向かって、ライミリアンは口を開いた。
「全く、流石に人の多さは予想していたとはいえちょっっっと待てギール。この短時間でどうやったらそんなに着崩れるんだ」
「…え?」
全く分かっていない顔で、きょとんと首を傾げる。
そのはだけた着物の胸元を、ライミリアンは力尽くで引っ張った。
「ラ…ライア苦し…っ」
「喧しい」
とりあえずといった具合で露出をどうにかすると、仕上げに首巻きを整える。
一見仕事に関係なく見えるが、ライミリアンの口癖によると「街長たる者、公害への配慮だ」(もはや公害扱い)
「にしても、ライアは何着ても似合うなー…」
痛い痛いと眉を顰めながらも、ギルディアスは感心の表情で視線を上下させる。
「普通に格好良い」
「・・・」
昔から。
ギルディアスは良くも悪くも言葉を選ばない。
Wライミリアンに対してだけWは。
それはきっと本人すら強く意識していないことだから、言われる彼もまた何も言わずに。
「っし、行くか」
「そっちじゃない」
正反対な、この二人。
今日も自分たちの舞台を進み行く。
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