愛月撤灯
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目が覚めたら私はまだシュンの腕の中だった。

人に抱かれて眠るのってとてつもない幸福感。

満たされる。ってこういうことなんだろうな。

体を起こして時計を見ると10時前。

目覚ましをかけなくたってこの時間の前後には絶対に起きれる。

絶対は違うかも。

やたら飲みすぎてたり寝るのがあまりに遅いとズレが出るから。

ベッドから降りてシュンの肩に布団を掛けた。

何時に帰るつもりなんだろう。

私は私の生活をしてていいんだろうか。

多少物音に気を使いながら朝食と昼食の中間の食事の準備を始めた。

タバコを吹かしながら鍋を弄る。

料理はあまり好きじゃない。

休日に凝った料理をするのは好きだけど、日常のは苦手。

厳密に言うと料理自体は嫌いじゃないけど何を作るか考える。って工程が好きじゃない。

夜ご飯もいける量の食事を作りながら頭を動かす。

シュンはケイさんにダーツを教わりたかったんだろうか。

昨日の言い方ではそんな感じだった。

それを考えると、ママから色々と教えて貰えてる私は幸せ者なのかもしれない。

それなのに私は2週間もーー

「何作ってるの?」

『 わ、びっくりした。』

いつの間に起きたのか。
シュンが後ろに立ってる。

『 何ってーーご飯。』

「ーーお腹空いた。」

『 食べたいの?』

ゆっくり頷くのが可愛い。

シュンは目覚めてから頭が覚醒するまでが遅いのか。

少しぼっとした顔。

勝手に作って要らないと言われるのが怖くて、シュンの分も。ではなくあくまで私の夜ご飯用。って考えながら多めに作ってた料理。

『 待ってて。もうすぐできるから。』

素直にソファに座って、目を閉じてる。

あぁ、これまだ起きてなかったんだろうな。

その証拠に、テーブルに料理を並べて起こしたシュンからは可愛らしさが少し消える。

「ーー美味そう。」

『 嫌いなのある?』

「無い。」

『 魚、骨あるけど平気?』

「普通に食べれるし。」

ほら、もう可愛くない。

「頂きます。」

丁寧に手を合わせる。

「久しぶりのちゃんとしたご飯。」

『 さっさとヨリ戻して作ってもらいなよ。』

「ーー煩い。」

『 いつまで保留にするの?』

「今日、仕事前に少し会うよ。」

そうか。

楽しそうで何より。




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