恋に落ちるその日まで-3rd-
[月雲家 本家](1/9)
新幹線に乗って、バスに乗り換え
かかった時間は約2時間

栞の父親の生家である、月雲家本家に到着する。


「・・・デカくない?」


どこからどこまでが敷地なのか
どこまでも続くこの塀は、到底民家のものとは思い難い。

翼の呟きに、栞が笑いながら答える。


「あはは 確かに。デカいよねぇ? 子どもの頃は迷子になってた」
僕、こういう生家とか、実家みたいなものは無いけどこれは何か違うってのは分かるよ?」

そう言って苦笑する翼は
いつもより大人びて見える。

普段はどちらかと言うと、ゆるっとしたオーバーサイズからの萌え袖がデフォルトな翼ではあるが
今日はタイトなジャケットでキレイ目な着こなし。

意外と180センチ近くある長身と手足の長さが際立って、スタイルの良さを感じさせた。

髪色も落ち着いたアッシュブラウンにしたようだ。いつもの美容師に短めにとオーダーしたところ、ゆるく巻かれてしまったと言って帰ってきた。

どちらにせよ、そのキラキラとした翼の王子様感は衰え知らずだと感じる。


こんなに毎日見ているのにいつでも見惚れることができてしまうのだ。


ーまぁ、モデルさんだし何着てもかっこいいんだけど



「しおり!?」


ようやく屋敷の門の手前まで辿り着いたところで、背後から男の声に呼ばれる。

その声に、翼と同時に振り向いた。

と、そこには高校の制服をラフに着崩した赤毛の少年が栞を見つめていた。


「・・・岳人!?」



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