ディヴェルトの英雄
[3章 おてんば魔女の友情](1/57)
ハイドランジア城から出発して二十分で、ラングリの関所に着く。それを通って行くと、うっすらと薄い膜のようなものが見えてきた。その様子を車の窓からリサラは張り付いて覗いていた。
「わあ! なんか薄透明のカベみたいなのがある。なんだろ?」
乗り物酔いの薬を乗ってから飲んだギアナは、まだ薬の効果が出ていないのか、顔を真っ青にして答える。
「あれは、ジラが張っている"結界"だ……うっぷ。魔法使いの国は、結界を国境代わりにしているんだとよ……」
「具合悪いなら、無理に答えなくていいよっ。ほら少し寝て!」
「いや、少し効いてきたから大丈夫だ」
「ほんとにー?」
まだ冷や汗をかいているギアナをリサラはじとっとした目で見る。まだ完全に効いている訳では無いが、少しだけ先程よりも顔色が良くなっているのがわかる。
リサラは車から流れていく景色を眺めた。ジラに入ってから、空と雲の色がおかしいことに気づく。空は紫、雲は緑と不気味な色をしていた。
そしてさらに驚きなのがなんと遠くの空に、 "町"が張り付いていたのだ。
「え、え、な、何あれ!? ま、街が逆さまだよっ?!」
リサラはまた物珍しいというか、ありえない景色が目に入ってはしゃぎまくる。驚きで目が飛び出そうになるほどに。
「すげえ。ほんとにこんな国なんだな。街が張り付いてる」
ギアナは持ち前の知識で知っていたのか、リサラほどではないが少しだけ驚いた様子で空に張り付く街を見た。
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