「――ねえ!奈緒ってばぁ!!」
理以の声にはっと我に返る。
「どうしたの?奈緒。涙なんか流して
さっきから呼んでるのに反応ないし」
「いやっ…。ただ、混乱してて…」
「何かあったの?」
「ううん。別に、何もない」
「そっか。何かあったならちゃんと言って?じゃないと、心配だよ」
「ありがとう。理以」
――やっぱり、キミだったんだね…
廊下側の一番後ろには既に人だかりができている。
女子特有の甲高い声が教室中に響いている。
私はキミを見るに見れないでいた。
キミとは小学校以来。
会うのは3年ぶり。
あんな別れ方をして、話せるわけがない。
なんでキミはこの教室にいるのだろう
。
この世に神様がいるならな、偶然にもほどがある。
見たのはほんの少しだけど、背が伸びてとても、大人に見えた。
3年前より、ずっとずっとかっこよくなっていた。
キミは3年前はずっとずっとかっこよかった。
君はわたしをどう思っているのかな?