The truth 〜生き残った者〜
[蒼穹への壮途](1/7)
またこの夢・・・・・・・・・
燃え盛る炎の中、母に手を引かれながら少女は走る。
「もう少しだから、頑張るのよ」
母の言葉に無言で頷く。
次の瞬間
「ドスッ」
鈍い音とともに母の背に矢が突き刺さった。
「おかあさんっ」
少女が叫ぶ。しかし、傷口からはじわりと血が滲んでゆく。
そして、命さえもこの血とともに流れ出てゆくのだろう・・・・・・。
女は涙で視界が滲むのを堪え、まだ幼い少女に言い聞かせる。
「いい、よく聞くのよ。このまま森を真っ直ぐ走りなさい。貴方を助けてくれる人がいるから。」
女は痛みを堪え微笑んだ。
「でも、おかあさんが・・・」
背後に微かに何者かの気配がした。追っ手が近づいているのかもしれない。
「行きなさい、決して後ろを振り向いてはダメよ。」
「いや、おかあさんと離れるなんて」
渋る娘に女は最期の力を振り絞り言う。
「生きて、生きて幸せになって・・・・・・」
女の声に涙が混ざった。
全てを悟った少女は走っても走っても森を駆ける。
足元から忍び寄る恐怖と戦いながら・・・・・・
- 2 -
前n[*]|[#]次n
⇒しおり挿入
[編集]
[←戻る]