赤い闇

[２週間](1/1)

闇の中だ。俺は、暗闇の奥に結衣の姿を見つけた。
「結衣ー！」
「あ、昴くん！また会ったねー…って、ちょっと！どうしたの？！その頭の包帯！」
「え？あ、あぁ…病院の外で頭ぶつけただけだよ」
（闇の中でも、包帯は巻いたままなんだな…）
「病院って…昴くん、入院、とか…してるの…？」
「あれ？言って無かったっけ？」
「うん。お大事にね…」
しんみりした空気になってしまった…
「あのさ、変な事聞くけど、ここって…夢なの？現実なの？」
「どうしたの？急に。何かあったの？」
「この前、この闇で出会った女の子がいてね…そしたら、現実にもその子がいたんだ。しばらくして、闇の中でその子が消えたんだよ…それで、現実でもその子、亡くなってて…っ」
「も、もう良いから！ごめんね、嫌な事聞いて…」
「ううん…その後に結衣に出会ったから、同じように入院してるんじゃ無いかって思っただけ。」
やっと結衣に言えた。すると、結衣はしばらくしてから答えた。
「…うん…入院、してるよ…」
「やっぱり…で、状態は？大丈夫なの？」
結衣はうつむいた。そして、小さな声でつぶやいた。
「意識不明で、２週間ずっと眠ったままなの…」
「２週間も…？！それって、どこの病院？！」
だが、結衣は答えない。黙ったまま。
「ねえ、どこなの？言ってよ…心配だから…」
「でも…言ったら、昴君は来ちゃうでしょ…？昴君だって、ケガしてるし、入院だってしてる！体調が悪化しちゃうのは嫌なの！…だから…お願いだから、そっとしておいて…？」
結衣の目にはうっすらと涙が浮かんでいた。
「結衣…」
「本当にごめん…心配してくれてありがとね。頑張って回復するから！…じゃあね、昴君…」
そうして、結衣は闇に消えてしまった。

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