赤い闇
[病室](1/1)


……
………
「昴っ!昴っ…!」
俺は、その声で目が覚めた。ってことは…さっきのは、夢?それにここは…
「ここは…病院?何で…」
俺は、ベッドの隣で座っている、心配そうな顔の母さんに聞いた。
「貴方、学校で急に血を吐いて気を失って、病院に運ばれて来たのよ…!」
周りを見回すと、先生や俺の同級生達がいた。
「皆…心配かけて、ごめんな…」
「何言ってんだ!俺ら親友だろ?昴が無事で良かったよ。」
そう言ったのは、親友の如月蓮。蓮と俺は、性格も正反対で、好みも違う。でも、なぜか小学生のときからずっと一緒だ。
「そうだな。本当にありがとう。蓮も、皆も、先生も。」
それから、しんみりした空気のまま、皆は帰った。母さんは、しばらくしてから俺の好物であるプリンを置いて、お大事にねと帰って行った。俺は、母さんの優しさを噛み締めながらプリンを食べた。とても甘かった。俺の好きな、バニラビーンズ入りのカスタードプリンだ。容器を見ると、高級プリン専門店である『レイズ』のマークがあった。
(母さん…わざわざ高いやつ買ってくれたんだ。)
外では雨が、ポツポツと降りはじめていた。

その夜、寝ようとすると、またあの激しい頭痛が起きた。凄く痛い。フラフラする。
「うぅっ……!!」
そして、俺はまた血を吐いて、気を失ったのだった……



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