それでも生きていたい理由
[#03](1/12)
あれから約一か月が経ち季節は、春になった。
ってことで当然僕は中学生。
長い長い入学式を終え、ぞろぞろとクラスに向かう。
教室の黒板に書かれた自分の名前道理に席に着くと、嬉しいことに真ん中の列の一番後ろだった。
周りから目線を浴びながら一目散に座ると、見られている眼帯を隠すよううつ伏せになり目を閉じた。
何も聞きたくない。
早く帰りたい。
とはいかないもので、担任の合図で恒例の自己紹介が始まる。
名前の後に出身小学校と好きな事。
(趣味)でもいいらしい。
で、もう僕の番。
「では次の人!」
そう…言われて立つにしても、
「……立花」だけで座る。
「こら、ちゃんと名乗りなさい!」
遠い距離から言われても何もない。
僕はまたすぐさま顔を伏せた。
「あーもう!次の子お願い」
担任は何やら苛立っているようだった。
僕のせいだけどね。
僕は自分の名前があんまり好きじゃない。
照だよ?
……女みたいじゃん。
男なのに男って感じがしない。
だから嫌い。
口にするのも吐き気がする。
太一は"好き"だと言って聞き飽きるぐらい人の名前を読んできたけど、他の人から言われたら鳥肌がたつ。
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