それでも生きていたい理由
[#02](2/21)
いつからだろ。
父さんが、本格的に帰ってこなくなった。
「……父さんは?」
聞いた僕が間違いだったのかもしれない。
兄さん達が僕を見て笑う。
馬鹿にしたように。
見下すように……。
「何言ってんの?お前……」
「―え?」
「捨てられたんだぞ、お前は。――可哀想に。笑」
そう言った兄の口調は、心配と言う言葉より心底楽しんでいる。
そっか。
……僕はもう、本当にいらないんだ。
心のどこかで少し安心してる自分と、どうしてと必死に何かにしがみつこうとしている自分がいた。
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