孤高の女〜悲恋詩〜
[日進月歩](1/25)
〜春野 七瀬〜
「………………。」
さっきまでテレビに送っていた視線が彼から離せない。
妙に心臓が痛くて。
だけど、どこかその鼓動すら心地よく感じる。
だからだろうか。
…近づいてくる彼を拒まないのは。
そんなことを思っている間に、私と侑李くんの距離はゼロになっていた。
「今日は拒否しないんだ。」
真面目なトーンで、少しだけ不安そうに問われる。
「何で彼氏を拒否するの?」
嫌なら付き合ってない。
まだ好きじゃないとはいえ、付き合ったからにはこういうことするのはわかってる。
そういうのも全部含めて、侑李くんに賭けてるんだから。
「本当にズルい人だな。」
安心したように、クシャッと笑うところが可愛いと思ってしまう。
「お互い様でしょう?」
侑李くんだってズルい。
可愛いかと思ったら、急に男になるし。
だからお互い様。
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