孤高の女〜悲恋詩〜
[一虚一実](1/18)
講義が終えるまでに落ち着きを取り戻し、外に出た。
「………………。」
やばい、ちょっと恥ずかしいかも…。
何ていう弱みを見せてしまったんだろう。
お礼を言いたいんだけど、どう切り出そうか。
私の前を歩く二人をチラッと見てみる。
さっきまでの言い合いは嘘かのように、楽しそうに話してるし。
何なの、もう…。
「オネーサン、俺と帰るよ。」
急に振り返ったかと思えば、そんなことを口走る侑李くん。
「俺は早めにバイト行くから、またね。」
二人共、さっきのことには一切触れない…のかな?
「…ありがとね。」
触れないでくれて…
優しさをくれて…
ありがとう。
「えっ、何、俺が帰ってくれてってこと?」
何となくわかってるくせに、そんな冗談で明るくしてくれるジョーくん。
「ばか。」
私がそう言って笑うと、ジョーくんも嬉しそうに笑った。
「んじゃ、行くよ。」
私の手を取って歩くのは、もちろん侑李くん。
今日はイケメンと手を繋ぐデーなのかな…。
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