孤高の女〜悲恋詩〜
[一期一会](1/23)
「何してんの?風邪ひくよ。」
そんな時、頭上の雨が止み、少し低めのハスキーボイスが聞こえてきた。
「…………。」
声のした方を見ると、赤みがかった茶髪のイケメン男子が立っていた。
歳は…同じくらいかな?
大きい目と、口を開くと覗く八重歯が可愛い印象を与える。
「泣いてる?」
私に傘を傾けたまま、彼は問う。
「ううん…雨……。」
泣いてないよ。
涙は出ないんだから。
「違うよ。心が泣いてるでしょ?」
「え……?」
いや、初対面だよね?
新手のナンパ?
「寂しいなら、俺といる?」
あぁ、やっぱりナンパか。
この人、イケメンだし、優しそうだし。
誰かに縋りたい。
寂しさを埋めて欲しい。
そんな私にとっては誰でも良かった。
「……うん。」
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