HOPE ・ADDRESS
[ワガママと休日vol. 6](1/1)

メグミ「いた!?」
ケーゴ「いいえどこにも!」
 1階南の正面入り口。ユーヤ達5人が集合した。
 店中手分けして探したが、ツカサと誘拐犯はどこにもいなかった。
ミホ「こんだけ探して見つからないんだから、もうお店から出ちゃったんじゃないの?」
マリー「あり得る話ね。」
ユーヤ「それとも、そのツカサって奴のデマじゃねえのか?」
 今まで見てきたツカサのワガママぶりから、笑い飛ばしながら言った。その時、
 ボカアアアアン!
ー!ー
 何かが壊れる音が響いた。すぐにサイレンが鳴り、客が何事かと騒ぎ出す。
アナウンス「すぐに店内から避難してください!店内中央の吹き抜け付近には近づかないでください!」
 前置きの言葉もそこそこに、慌てた調子のアナウンスが入る。
ケーゴ「吹き抜け?」
ユーヤ「行ってみるか。」
 5人が行くなと言われた吹き抜けに向かって走り出す。そして吹き抜けにたどり着き、5人は驚愕することになる。
 キュエエエエエエ!
 巨大な鳥が奇声をあげていた。広げた翼は吹き抜けの端から端まで届き、体の所々が金属でできているように見える。
ミホ「何これ!?スッゴいでかいけどこれ!?」
ユーヤ「どう見ても絶望の数列(デストロイ・ナンバー)に決まってんだろ!」
ケーゴ「あの・・・あそこにいる人・・・。」
 怪鳥の足下にいる、両手に拳銃を持った黒服の人物を指差して言った。
メグミ「まさかアイツ・・・。」
マリー「ショーキ!?」
ユーヤ「おいショーキ!」
 ユーヤ達が駆け寄っていく。すでに頭から出血したショーキが振り返る。
ショーキ「お前ら・・・。」
ミホ「どうしたの!?何があったの!?」
ショーキ「それが・・・。」
ーーー遡ること約10分前。
「ったく。余計な邪魔が入ったわね。」
 スーツ姿の女性が、サングラスを手元でいじり回しながら悪態をつく。
「絶好の受け渡し場所だと思ったんすけどねえ。」
 ワンピースを着た女性が、縛り上げたツカサが乗っている車にもたれ掛かりながら言う。
 ここは屋上駐車場。そして彼女達は、ショーキが探しているツカサの誘拐犯である。元々麻薬の受け渡しでここに来ていたが、その現場をツカサに見られてしまい、今に至るというわけである。
 サングラスの女性が、ワンピースの女に話しかける。
サングラス「それじゃ、改めて例の物を。」
ワンピース「はい。コカイン8グラムで、37000円となります。」
サングラス「お疲れ」
「ありがとよ。さっさと移動してくれなくて。」
ー!ー
 聞き覚えのない少年の声を聞き、2人が振り返った。ショーキだ。
サングラス「あらあら坊や。一体どこの誰なのかしら?」
ショーキ「あんたらが拉致った女の連れだよ。それより、ツカサは無事だよなあ?」
 そう質問すると、ワンピースの女が逆に尋ねてきた。
ワンピース「んなことより、どうして私らがここにいるって分かったんだ?」
ショーキ「それについてだけど、1つ確かめたい事があんだよね。」
 ズボンのポケットから希望の数列(ホープ・アドレス)のカードを出し、2人に見せた。
ショーキ「絶望の数列(デストロイ・ナンバー)、これの黒いやつをどっちかが持ってるだろ?」
サングラス「・・・だとしたら?」
ショーキ「そうだと仮定して話を進めると、その絶望の数列(デストロイ・ナンバー)の能力は、本人や他の物を煙に変えること。それでトイレ内の通風口を通って、この屋上に出たって訳。」
 ここまで言うと、サングラスの女がもっともなことを言ってくる。
サングラス「大胆な仮説ね。煙がどうのなんて話はどこから出てきたのかしら」
ショーキ「火災報知器。」
ー?ー
ショーキ「確かに鳴った。1時間前に例の女子トイレで。火が出てなかったから、店側は誤作動だと思ったそうだが、実際は煙になったあんたらに反応して鳴ったんだ。」
 何も臆することなく言うと、ワンピースの女が動揺した。
ワンピース「マ、マズイっすよ姐さん!コイツ、なんもかんも知ってますよ!」
サングラス「落ち着きな。」
 ワンピースの女を黙らせ、胸ポケットから例のカードを出した。今回の逃走劇のキーとなったカードを。
サングラス「融合(エンチャント)。絶望の数列(デストロイ・ナンバー)1944、S・M(サッド・モニュメント)相殺のゴッドウィンド。」ーーー
ショーキ「ていう案配さ。」
 一通りユーヤ達に説明し終えた。
ユーヤ「屋上ごとぶち抜いて現れやがったから、ツカサの乗った車もこの辺にあんじゃねえのか?」
ショーキ「そうなんだよ。俺それ探しに行くから、それまであれ任せていいか?」
ミホ「まっかせなさい!」
ショーキ「んじゃ任せた!」
 一端融合(エンチャント)を解き、元のラフな服装に戻ったショーキは、ツカサが監禁されている車を探しに行った。




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