君に、花を。 光と影(1/26)










「ちーかちゃんっ!」



濃い目のメイクをして、スカートを膝上に曲げてアヒル口を作ったクラスメイトの女子に話しかけられているのは、間違っても私なんかじゃない。


私の隣を歩く、小嵐 千佳 ( コガラシ チカ )



千佳を一言で表すなら、可愛い。

愛くるしいその見た目は、誰でも惚れると思う。


腰まで伸びた黒色の髪に、真ん丸な瞳はいつもキラキラ輝いている。

伸びる手足は白く、モデルさんのようで。


そんな千佳は、見た目も良いけど中身も良くて。

誰にでも優しく微笑みかける。




「なに、どうしたの?」



学校終わりの帰り道で並んで歩いていた私達は、声をかけられた為足を止めた。


私が止める意味があるのか不思議だけど、ここで置いて行くのも私の役目に逆らうから嫌だ。




「近くにカフェ出来たでしょ?一緒に行かない?」



そう言って少し恥ずかしそうに言ってくるクラスメイトの女の子達。


その子達に、眉を寄せて申し訳なさそうな顔をする千佳。




「ごめんね?今日はどうしても外せない用があって



そこまで千佳が言えば、慌てたように「ならいいの!」「また今度ね!」って去って行く。


その後ろ姿を眺めながら、

" 現れたのか " と、思う。







「千佳」







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