.第12章 ナチスの遺物 1/6
「この物質は・・・結論から言うと、『不良品』『失敗作』と表現するのが妥当です。」
さっそくレイがリトミネンコに説明をはじめる。
「というと?」
「具体的には、原子爆弾を精製するときにウラニウムを圧縮して、質量を大きく縮めるわけですが・・・。ナチス時代にこの精製研究中に発生した物質がUN63です。ただ、この物質は当然のことながら(失敗作だったので)ゲシュタポの手によって処分された、というのが、私の父親の話だったのです。」
「結局使い物にならなかった、というわけですな。」
「ただ、私がここに来て研究を進めるうちに、この物質には特殊な性質があることがわかったのです。」
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