キミを想う

○新しい日(1/7)











キーンコーンカーンコーン

帰りのSHR終了の合図。

学級委員の号令に合わせて席を立ち、頭を上げるより先に鞄を鷲づかむと扉に向かった。

「霧生〜!!!またな!」

「暇なら遊ぼうよ、竜騎」

「ねーねー、竜騎〜!!」

はぁ、今日も駄目か。

誰にも気付かれないよう教室を出ようと思ったのに、それより早く話しかけてくる同級生達。

名前は1人も覚えていない。

顔も、ほとんど覚えてない。

赤の他人であるクラスメイト達と、それぞれ会話を交わす気力はない。

必要性も感じないしな。

まだ何か言っているクラスメイト達に笑みを向け「じゃあ、また明日」と。

1言告げて教室を後にした。



今日はなんの弁当を買って帰ろうか。

昨日は魚だったし、今日は肉がいいな。あ、そういえばCMでコンビニ弁当に幕の内が出たって言ってたっけ。

それでもいいかも。

「霧生くん!!!」

コンビニに向かおうと校門を出ようとしたところで、背後から名前を呼びかけられた。

内心うんざりしながら立ち止まる。

「なに?」

笑顔で問いかけると、俺を呼び止めた女子生徒は震えながら何かを差し出してきた。

赤い布に包まれた硬質なもの。

何コレ。

「あの、霧生くん…。いつもコンビニでお弁当買ってるって聞いて…。その、良かったら…。本当につまらないものだけど…」

つまらないものを俺にやんのかよ。

ていうか、誰にそんなこと聞いたわけ。ストーカーじゃねぇの。ありえね。

今日から飯買うコンビニ変えようかな。

「ありがとう」

「いえ!!」

“嬉しそうに”微笑んで礼を言う。

女子生徒が走り去っていくのを見ながら、押し付けられたそれをカバンの中に突っ込んだ。はぁ、荷物が重くなった…。

あの子には悪いけど、俺は人の手作りは食わないことにしてるんだよね。

だって危ないだろ。

名前も知らない奴から貰った手作りの食い物なんて口に出来るわけねーじゃん。

何が入っているかわからない。




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