DV、夜職、自殺、幸せ、不妊。
[夜職](1/24)




丁寧に中へ案内され、
びしょ濡れの私にまずタオルを渡してくれた。


そしてまだお客さんのいないフロアのテーブル上に
履歴書を置かれ、そこへ座るよう促された。


「今日だけとは言っても、働く以上書類は書いてもらわないといけないから
これを書いてもらってもいいかな?
心配しないで、親に連絡がいったりすることはないから!」

「は、はぃ



親の名前や実家の住所を書く欄があったと思う。
それを書くのにすごく勇気がいった。


どうしようどうしようと思っている間に
淡々と事は進んでいき、
私は人生で初めての露出度高めなキャバドレスを着て
死ぬほど高いヒールを履かされた。



「名前は何にする?源氏名」
とその場で聞かれ
そんなものは咄嗟には出てこず
「えっ、えっとどんなのがありますか
なんか誰も使ってない余ってる名前とかないんですか」
と聞いた。


名簿みたいなものを見ながら上から順番に
あけみ、みゆき、のりこ
のように読み上げられる。


その頃彼氏の影響でワンピースのアニメDVDをよく見させられていた私は

ナミ

という名前に反応した。


「あっ、そ、それで!ナミでいいです!!」




私はこの日から、◯◯とナミ
という二人の人間になった。




この小説の作者名をnamiとしたのは
この時の源氏名が理由。



- 64 -

前n[*][#]次n
/174 n

⇒しおり挿入


⇒作品?レビュー
⇒モバスペ?Book?

[編集]

[←戻る]