少年少女はエゴに没する
 

胎動に涙を浮かべる (2/11)






「……どーも、初めまして。錦織睦月っス」

首都圏、高層マンションの最上階。
広々とした煌びやかな玄関先で、睦月は目の前の少年に手を差し出した。

睦月よりも少しだけ背が高いその少年はべらぼうに艶やかな人物だった。

女である睦月が霞んで米粒程になってしまうほど、神々しいオーラを纏っていた。
同じヒト科とは思い難い。


少年はその手を一瞥した後、その妖艶な唇を小さく動かした。

「門脇八霧」

握手に応えずに。


そのツンとした態度に睦月の口元がヒクリと痙攣する。
睦月はガバッと八霧の手を引っつかむと半ば無理矢理シェイクハンドした。


「痛いんだけど」

八霧はものすごく嫌悪の表情を浮かべながら、履いていた制服のスラックスで掌を拭った。
その行為に睦月はさらに口元を痙攣させた。


「おい、菊竹!何この無愛想な男!」

そんな二人を面白そうに傍観していた菊竹という男に、睦月は喚き散らす。


ギリギリ30代前半(睦月に言わせれば、まあ死ぬほど甘く見たら20代に見えるかもな)の菊竹はまあまあ、と睦月の頭を撫でた。


「そんなこと言っちゃ駄目よん。今日から一緒に暮らすんだからさあ」

「やだ。ぜーったいやだ!一人で暮らす!」

「はーいはい、無茶言わないの」

「だってこの男があたしの管理人なんて、明らかに無理あんだろ!あたしゃストレスで早死にすっぞ!?」

「コアラじゃないんだからー。大丈夫大丈夫。睦月は無駄に丈夫だろお?」


無表情のまま睦月と菊竹を傍観していた八霧に、菊竹は「ごめんねえ?この子、気強くて」と謝った。




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